【映画&BOOK】闇の子供たち


映画を観て、小説を読みました。

タイの幼児買春(売春)と臓器売買の実態を描いた作品。
ドキュメンタリーのようであるが、ドキュメンタリーではない。
でも、これは、現実である、とその映像が訴えかけてくるようだった。

濃厚で、今の日本でひ弱に暮らしている私には、受け止められたかわからない。
渋谷の映画館からの帰り道、道がゆがんで見えた。

ずっと胸がつかえて、苦しく、吐き気がした。
おなかはすいていなかったし、そんなに暑くも感じなかった。
真夏の暑い日に、観た映画を私は忘れないでいようと思う。


闇の子供たち (幻冬舎文庫)闇の子供たち (幻冬舎文庫)
梁 石日

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貧しいから、子供を売る。
わずかばかりの金で、わが子を売る。
売った親に罪悪感はない。そうしなければ食べていけないから、売るのだ。

売られた先で、子どもたちは、地獄の生活が待っている。
日本なら、小学校にあがったばかりくらいの歳の少年少女が、
あどけない顔をしている子供たちが、相手をするのは、幼児性愛者(ペドファイル)たち。
世界中から集まってくる大人たちが、子供を性のおもちゃにする。
まさしく『おもちゃ』である。
『人間』ではない。
彼らは、子供たちを『人間』として扱わない。
なぜそれができるのか、理解ができない。どうしてもできない。
理解する必要はない。
そう思うのだが、どうしても「なぜだろう」と考えてしまう。

しかし、人間の欲望は果てしなく、そして間違った方向に育った欲望は、その人間の理性を破壊するのであろう。
そうでなければ、教育を受けて、利益を享受している先進国の大人の行動の説明がつかない。

タイの売春宿で、ロープや鎖、手錠につながれ、不潔で不衛生な地下室におしこめられた子供たちは、病気になれば捨てられる。
エイズだとわかった少女は、黒いごみ袋に入れられ、町のごみ回収車に乗せられて捨てられる。

もしくは、養子と称して売られる。
もしくは、生きたまま臓器提供者として売られ、殺される。

日本新聞社に勤める南部が、真相を追い、記事にしようとする。
ボランティアの恵子が、自分探しにタイにやってくる。

しかし、そこで目にする現実は、想像を絶する世界だ。
観光でいったのではわからない世界。

映画のラストは、衝撃的である。

所詮は外国の出来事で、タイのことはタイ国がなんとかすべきだ、という日本人らしい主張をはった南部の手を振り払った恵子。
そして、南部の自殺。
南部は、自分も子供を買ったことがあった。その罪悪感にさいなまれて首を吊ったのだろうか。

江口洋介の演技はすばらしかった。
宮崎あおいの青臭さも真実味があったし、日和見なカメラマンの妻夫木もよかった。
しかし、江口は、相当な覚悟でこの映画に臨んだだろうと思えた。

そして何より、この映画を撮った阪本順司監督に称賛を贈りたい。
この映画を撮らなくてはならない。
信念を持って、撮ったのだろうなと感じた。
苦しくても、辛くとも、この映画を撮らなければならないという使命感を持って撮った映画だと思う。
自分がやるべき仕事をやった人だ。
すばらしい。
com(0) - 2008.09.09


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